【人】 貪食 レマーン―早朝 クラヴィーアの寝室― そろり、そろりと近づく。 腰を低く、両手を構えて。 ベッドで寝静まる彼女を目指して、そろりそろり。 十分に距離が詰まったところで、一息に飛び掛かる。 「おはよう! 『おねぇちゃん』 !」当然の、家族のやり取り。 何の不審な点もない。 彼女が目覚めれば、リビングから僕が用意した料理の香りが届くだろう。 「今日も、ダンジョンに行くの?」 あくまで質問しただけ、無理に同伴を強請ったりはしない。 彼女が連れ立つ事を希望しないなら、着いて行くことはないし、他の者へ会いに行くとしても、止めることもない。 彼女の任務がある事は承知済みだし、個人的に会いたい相手もいるだろうから。 (2) 2023/01/06(Fri) 5:42:50 |