【人】 「狂」の神 アネーシャ◆感情取得 サティカル 罪とは何だろう。 愛とは何だろう。 義とは何だろう。 和とは何だろう。 人間の少女を連れてきたゼノンは、答えを見せろと言って笑った。 ぞくりとたかぶる感覚に身を沈め、そろりと周囲の様子を窺う。 困惑する者、エラを観察する者、同じように目が合う者もいた。 ゼノンが何を考えているのかわからない。 だがそれがいい。それでこそ世界だ。ソレデコソアネーシャの望む世界だ。 こんなに面白いことはない。アネーシャはゼノンの出した「課題」に、満足げに嘲った。 「ねぇ、サティカルちゃん」 「愛」神サティカルが、呼びかけに反応して顔を上げる。 アネーシャとは対照的に、困惑した表情を浮かべている彼女の姿形は、正しく全身で「愛」を表現していた。 愛らしい仕草、愛らしい表情、愛に満ちた言動、彼女の発する、すべてを包み込むような「愛」は、アネーシャの好むところだ。愛は、すぐに、裏返る。 「わたくし、不思議なのよね〜。 ね〜ぇ、サティカルちゃんはどう思う〜? エラは無罪かしら、有罪かしら? ふふ、わたくしこういう問いかけ大好きよ。 だって、 こんなにも不確かなものはない のだもの〜」「考えても答えが出ないから、世界って楽しいのよね」 最後の一言に答えは求めていなかったけれど、 ーーそれでもきっと「愛」神であれば返してくれるに違いない。彼女は、そういう性質の持ち主だ。 (2) kikimi 2019/10/05(Sat) 1:26:07 |