ー　夜・食堂　ー

［後ろから足音が近づいてくる。ゆる、とそちらを振り向いた。>>276

勿論、視界は誰かの姿も捉えない。
あまり聞き慣れない足音が気になって、つい音の方向を確かめたくなったのだ。
その足音が比較的、歩幅のある音だと分かれば、今度は少し首を傾げた。

挨拶のために声が聞ければ、やっと誰かを理解して。］


『やあ、ラグナ。何か用事かい？』


［簡単な挨拶を返した。

いつかのやり取りには、アタシは、そもそも蒲公英色が分からなかったから、どんな色か聞いた覚えがある。>>2:271

一番最初のやり取りがそんなものだから、アタシが音で世界を捉えるように、ラグナは色で世界を捉えているのかと考えて。
だから、言い出されでもしなければ、アタシはラグナの視覚を貰おうなどと、そもそも思い至らないだろう。］