【人】 命灯癒光 リーディエ>>1 兄様達 ハグベリーに状況の説明を終える頃。 戻ってきたノルに視線を向け、軽く頭を下げる。 「…ありがとうございます」 どちらと、選択肢を受けたから迷わずに水に手を伸ばし。 受け取った後、すぐにコップの縁に口につけ、傾けた。 慣れない作業と緊張が喉の乾きを齎す。 飛びつく様子には、きっと驚いていた。 でも表情に変わりはなく、あくまで冷静に見える形で。 抱くべきではない違和感と、羨望。 自ら望んでいても、兄達は悲しむばかりで。 喉を潤した後は、 そちらを見ないように スコップに手を伸ばす。事が起こる前に甘えられたら、違っていた? 最期まで触れない事が、正しかったのだろうか。 「…私、戻りますね」 まだまだ不完全な穴を指さし、2人はゆっくりして下さいと伝えて。 もうすっかり傷だらけの手と、土で汚れた体に小さく笑いが零れた。 でも、手を止めている暇はないから。 もう一度掘り始めようとする。 声がかかれば、動きを止めるかもしれないが。 (2) 2022/07/25(Mon) 2:20:56 |