【人】 三橋 夕凪[思わずぱち、と瞬きを二度。 込み上げる、懐かしさと嬉しさに口角が上がる。] あ、……やっぱりリクちゃんだった、 私───、は、花澤さんじゃなくて。 [惚けたような口ぶりに、くす、と笑う。 それが彼女の処世術なのだ、とは>>0:92 知るはずもないけれど、覚えていないことを 咎める気持ちになどなるはずもない。 人は、忘れていく生き物なのだから。 ] 覚えてないよね? めちゃくちゃ前だもん。 私もさっきまで記憶にもなかった。 [また、ごとりと傾いたバッグの中の分厚い重みに 微かに眉を顰めて、よいしょ、と肩に紐をかけ直す。 ふふ、と笑った。] (3) 2021/02/02(Tue) 10:30:26 |