【人】 孤児 ヘイダルもう俺は、こいつが魔神である事を疑ってはいなかった。 「自由になりたい」と言ったこいつの眼は、そのくらいに本物だった。 ずっと自由じゃないところにいた奴の瞳だった。 ────あの銀獅子と、おんなじくらいには。 「………………俺、さ」 長い沈黙の後、ぽつりと零れたのは、紛れもない本心。 俺達は1つの願いを奪い合う"敵"同士。 こんなこと思っちゃいけないのかもしれない。 そして勿論だけど、己の願いを引き下げるつもりも毛頭ない。 でも。 でも、さ。 「……俺、お前の願いも叶うと良いなと思う」 (3) Valkyrie 2019/06/15(Sat) 6:36:37 |