【人】 蕃神 雷恩― いつかの植物園:桜花と ― [君の名を呼ぶ。 何処か常と様子がおかしい君の名を。>>1:265 ――それが自分の変化を、 桜花に実感させることになるとは思いもせずに。 蕾がほころぶように 或いは雪解けのように。 君の口元から笑みが溶け消える。 ――俺はまた、間違えたのだろうか。羅生のときのように] ……桜花。 [泣きそうな声だった。 続いて耳に届いたのは、嗚咽だった。 俺が泣かせた。 伸ばした手は彼に触れることもなく 桜の色は背を向け、去っていくのだろう。 情緒がもう少し育っていたならば。俺はその背を追いかけたのだろうか。 それとも、再び勇気をもって声をかけられたのだろうか。 その時過った感情の名前を。俺はまだ知らない。*] (3) 2023/11/23(Thu) 8:07:48 |