【人】 龍之介── 山頂の御屋敷 ── [青褪めた顔、重たい足取り。 上着の袖は斜めに裂け、 半壊の籠を負った背中から足にかけて 赤黒い染みがべったりと衣服を汚す。 あの御方の婿として ふさわしくない格好になってしまった自分が 湖の縁、森の切れ目に辿り着いた時には まんまるに近い月が 空高く昇ってしまっていた。 (早くとおっしゃられていたのに>>1:60 こんなに遅くなってしまって、 お土産の実もぐしゃぐしゃに潰れてしまって、 きっと…… 失望されてしまう、) 謝れば許していただけるなら 挽回する機会を与えていただけるなら 懇願したいけれど、 異なる文字をお使いになるミクマリ様には>>2:1 伝える術がない。] (3) 2021/06/25(Fri) 21:55:18 |