【人】 3年生 武藤景虎────自分の病室──── [屋上から紙吹雪の魔法が舞って。 太陽の光を浴びてきらきらと風に乗った其れ等が一層眩い光に包まれた気がした。 目を開くと、自分の病室の窓にかけられたカーテンの隙間から朝陽が差し込んでいる。 眦から零れ落ちた涙の痕を手の甲で拭って体を起こす。 何か狭いなと思い隣を見れば、手を繋いだまま眠っているくっきーの姿があって。 この世界から旅立つ"たった一人"を送る魔法を使うためにあの夢の中へ戻っていたことを思い出した。] ……、そっか、先輩は、もう────…。 [同じ夢が終わったからなのか此方が起きた気配に気付いたからかはわからないけど、傍らで眠っていた彼女が目を覚ましたのもそう変わらないタイミングだったろう。 何度目かの夢の終わりが来て。 もう、あの夢を見ることは、時の止まった美術館に行くことは、ないのだろうとどこかで確信していた。] (3) 2022/09/16(Fri) 12:18:41 |