【人】 時雨[桃ちゃんは黙々と髪を編んでいるし、 ちょっと手持ち無沙汰だ。 カーディガンの袖に半ば隠れた指で、苺カルピスの パックを胸元に抱えて、ちぅちぅ啜る。おいし。 そしたら、何でか頭上から溜息が降ってきた。] 『時雨はさぁー……、それ、わざとじゃないよね? 自意識過少な自覚ある?』 「?なにそれ。」 [自意識かしょー。 口内で繰り返している間にも、 慣れた手つきで後ろ髪が結い上げられていく。 人の手で髪を弄られる感覚が、気持ちいい。 健人に髪を乾かしてもらう心地良さを思い出す。 項に垂れる、一本の編み込み。 毛先を少しずつ引っ張り出して、 わざとほつれさせてる感覚があった。 桃ちゃん、お洒落さんだもんな。芸が細かい。] 『今日から3日…や、念の為5日。 毎朝あたしか、他の子がやってあげるから。いーい?』 「んん、ありがと……?」 (4) 2024/07/14(Sun) 23:02:37 |