【人】 美術部 雨蓮 しずく― 回想のおわりとハンカチ探し ― [ しずくは、あの少年との出会いから絵を本格的に描き始めた。コンクールも画廊も、目立つことの嫌いなしずくだが、断らないのはそれが理由は子どものラクガキのような絵を本当に綺麗だと感じてくれた、話しかけてくれたチロルチョコのお兄ちゃんに自分の絵を見てどこかで会えると良いなと思いながら…いや、どこかでこの絵を見てまた綺麗だとお兄ちゃんに思って欲しいと今でも絵を描いている。] (は、ハンカチ…探さなきゃ…) [ しずくが瞬きすると、はらりと目から滴が落ちた。 けれど、それを気にするよりもハンカチを探すことに意識が向いていたしずくは、もう目の前でタピオカを待つ列の最前になるのにも関わらず、列から飛び出してた。] (朝はあったから…。浴衣に着替えた更衣室か、それまでの廊下…。あとは、教室…。お化け屋敷の前…。) [ しずくは、ひとつひとつ思い出しながら歩いていた。] (ま、まずは…更衣室!)* (4) 2020/06/17(Wed) 9:05:19 |