人狼物語 三日月国

224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】


【人】 路地の花 フィオレ

夜更け、海の見える三日月島に沿った道路脇。
人通りの少ないそこに止められた車の中。

『……―――――』

女は手を握って、その男が紡ぐ言葉に頷きを返している。
事後特有の熱気が引いていくのを肌で感じながら、緩慢なそれに笑みを浮かべたまま。

「そうだったの」
「もっと早く話してくれていたら、私たち……まだ一緒にいられたかもしれないのに」

残念だわ。
男の体を抱き締める。冷えた汗に触れて、女の身体が小さく震えた。
抱き返されない腕に、笑みをたたえたまま眉を下げて。

そっと離れたならば、倒された椅子のヘッドレストに置いた服に腕を通す。

Addio.これでさよならね
Amore mio.あなたのこと、愛していたわ

さいごに口付け一つ落として、車を降りた。


―――― 一歩、二歩。もう少し離れてから、電話を耳に当てる。

「もしもし?」
「引っかけた子が、うちのファミリーに手を出したおばかさんだってみたいで」

「うん、そう。話は聞けたから、迎えついでに後始末お願いしてもいい?」
「そんなこと言わないでよ、ちゃんとお礼も用意しとくから……ね?」
(5) 2023/09/02(Sat) 1:25:54