【人】 聖杯のジン ナディル>>5 長い沈黙のあと、 やっとのように伝えられた懇願とともに 目の前に差し出された サーリフの白い手を見つめながら、 ナディルはずっと抱いていた疑問の 答えを探していた 「あのさ……俺はさ。 別にこんな鎖があろうとなかろうと 地上になんか戻りたくないし サーリフが何を言っても言わなくても それは変わらない。 俺が俺で在れるのは煉獄だけだ。」 サーリフはそれを聞くとふにゃあと力を抜き、 あからさまに安心した顔を見せた。 (6) kintoto 2021/09/20(Mon) 23:01:14 |