人狼物語 三日月国

55 (R18)竜宮城


【人】 因幡 フウタ



  ………………


[古い家の中へ侵入する隙間風を凌ぐ様に、いつもひとつの布団でくっついて寝ている​───夏も同じ様にしていた気がするけれど​。
だから伸ばした手は隣に寝ていた理恵をぎゅうと抱き込んでいた。
目が覚めて一度我に返った様に腕をゆるめたが、
理恵をこの手に抱き締めていると認識すれば、
また少しだけ、腕に力を込めた。

理恵は起きていただろうか。
今ので起こしてしまったのだとしても、「寒い」とか言い訳しながら抱き締めていた。
彼女の頭を胸に抱える様に身を寄せていれば、
顔は見られずに済む筈だ。
苦しい様な、泣きたい様な、叫び出したい様な、安心した様な俺の今の表情は、
きっと酷い顔だから。

夢の中では俺を置いて行ってしまった理恵。
彼女が俺に愛想を尽かしてどこかに行ってしまう不安も勿論だが、
そんな事あり得ないと頭を振ったって、
残りの寿命の差を突き付けてくる様で堪らない。

離してはならない。
離したくないと、暴れる心を押さえ付ける様に、
脚も使って小さな彼女の身体を抱え込んだ]
(6) 2020/12/25(Fri) 7:44:02