
![]() | 【人】 木工・錬金術師 マラク ――その結果、自分はセレスティアが旅立つ日に立ち会うことはできなかった。 あの野郎は自分が別れの挨拶に向かえば言葉の通りに自分を殺すことにしたであろう。 セレスティアを悲しませるわけにはいかず、また反逆者とされるわけにもいかなかったし、何よりも追った負傷で動くことができなかった。 家に運び込まれ、セレスティアの母親に治療される中で力を振り絞って生まれた時からずっと身に着けているマラカイトのお守りを渡した。 「待ってる、と、伝えて……」 自分が言えたのはそれだけであった。 保っていた意識が闇へと落ち、目覚めた時にはセレスティアは旅立った後だ。 目覚めれば家族からは心配しながらも叱責もされ、セレスティアの家族からも諦めるように諭された。 村長もまた村のためであると語ったが――。 「僕は、必ず、取り戻してみせる……」 セレスティアが勇者と共に魔王を打ち倒す旅に出た日。 後に魔王をもってして魔王のようであると言わせしめた男の闘いが始まった。** (6) 2026/07/18(Sat) 4:12:09 |