【人】 地の底の商人 グラッド──かつての日 ダンジョン浅層 アナトラと── 「――…なんでもアリ、なんてぇ謳い文句は、よした方がいいと思うがねぇ。 本気にして、回復が追い付かない程に無茶な要求をしてくるヤツも、いると思うぜ?」 その日、『穴』に新たな住人が加わったと聞き、品の調達ついでに会いに行った時の事。 彼女の追い立ちからの致し方ない行為とは言え、魔物である彼女の身を、省みる者は少ないだろう。 まして、『聖断者』のように魔物の殲滅を目標にしている者もいる。 良い選択とは言えないだろう。 「それとも、実は心の底でそうされる事を望んでる、ってぇ線もあるかぃ?」 心の奥を暴きにかかる。 目利きとして、彼女という「品」を見定める為に。 (6) 2023/01/08(Sun) 12:22:55 |