【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ【路地の店】 ごつっ、ごつっ。 荷物を満載した、ブーツの重い音が路地を通る。 思えば、グラスハープの音がない時に ここに来たことはあっただろうか? だからと言って、魔女の歩みが止まる事はない。 なにせ、あの店じゃあきっと猫が鳴いている。 少なくとも1匹。下手をすれば2匹。 ……もしかしたら、3匹。 それを思うと、足を止める気にはなれなかった。 欠けた頬と耳から未だ流れる血は、適当な布切れを ダクトテープで貼った応急処置のおかげで 鳴りを潜めている。猫も店も、汚す事はそうないだろう。 そして、店を覗き込む。ドアベルの前に、中を覗く。 店主は、まだそこにいるだろうか。 それとも、烏が既に片付けた後だろうか。 (7) 2022/08/25(Thu) 11:18:55 |