【人】 命灯癒光 リーディエ優しい声も笑顔も、全てを怖く感じてしまった。 きっとこんな状況でなければ、そんなこと抱きもしなかったのに。 曖昧な笑顔でスコップを渡して、少し離れて。 座り込んで眺める間も、やっぱり怖かったの。 目が合うという当たり前の行為さえ、落ち着かなくて。 見張られているような、居心地の悪さを感じていた。 不自然のないように叫んで皆を呼ぶ? あるいは、まだ足りないからと水を取りに行く振りをして。 なんて、頭では考えるのに疲れた体では行動に至らない。 そうして時間が経って、ノルからかかる声。 本当は逃げ出したい気持ちを抑えて、 立ち上がる。「………えぇ。…そう、ですね」 2人から見れば、別れを惜しむように見えていればいい。 実際その気持ちはあるし、誤魔化しは効くはずだ。 ねぇ、フィル。…私は、どうするべきでしたか? もう何処が痛いのか、どれほど疲れているのか鈍り始めている体を動かして、フィラメントの近くへと向かう。 布の上に置いたカーディガンを拾い、暫く眺めて。 それで結局何を口にするでもなく、2人がどうするか確認するように見つめるのだろう。 (8) 2022/07/25(Mon) 22:56:39 |