【人】 胡媚娘 メーニャン(続き) そんな生活の中、ある坊主と私は出会う。月夜のもと湖に浮かぶ偽の月を眺めながら毎晩言葉を交わす我ら。正体がバレたら、私は命を狙われるだろう。毎日幻術が使える間のひと時だけ、私はその男と話すことを許されていたのだ。 秋のことだ。ある日、私は久しく手を染めていなかった悪事に再び手を染めた。冬に向けて、肉をつける必要があった。 大荷物抱えて山へ戻ろうとすると、山を降りる坊主を見かける。しかし小僧を何人も引き連れており、仰々しい。 嫌な予感がした私はすぐに弟のもとへ走った。 ……弟は殺されていた。 そのあと街で聞いた噂では、高僧が人に化ける狐を見つけ、靡かせ、住処を突き止め、退治したんだと。めでたしめでたし ふふ、そんな顔するな。もう千年も昔の話だ (9) 2023/04/16(Sun) 18:08:05 |