【人】 学生 ガラーシャ― 馬車の旅 ― はあ…、馬車ってやっぱり、早いです、ね。 [サルハドに向かう道中、幌を引き上げた部分から、外を眺めながら呟いた。 馬車はどんどん道を行く。 首都を出ると、馬車は最初は整備された道に沿って、牧草地や、葡萄畑の中を進んでいった。 しかし、中継地で一泊し、出発すると、道は段々馬車をがたがたと揺らすような状態になっていく。 窓の外を流れる景色は、オリーブ畑になり、そして赤茶けた土と黄土色の砂が混ざる荒れ地が延々と続くようになっていた。 こんなところを自分は歩いてきたのかなあ、と思うと感慨深い。 実際歩いたのはこの道だったのかはもう覚えていないのだが、ひたすらに荒れ地と低い植物、たまに木とぽつんとした小さな一軒家に山羊、のような風景は、何故か何とも懐かしい気持ちになった。] (10) 2021/09/27(Mon) 21:07:09 |