【人】 被虐 メイジ >>9 ロク 「ミロクさんが生きることを望む人はいなかったけど 死んで欲しいって望む人もいなかったって だから、死ぬことを望まれて嬉しかったって言ってた。 ついでにオレたちを生かせるなら悪くないって……」 あまり色のよくない、汗の滲んだ面持ちで オレたちってついでなんだって、とわずかに口元をつりあげる。 誰が彼の死を望んでいたかなんて、メイジは知らない。 「愛されたかったのかなぁ」 ぽつりと手を止めて、俯いた。ただの主観だった。 "人生最大の幸福は、愛されているという確信である" 彼が零していた言葉だ。それが死を望まれることと 直結するなんて、歪んでいると思いながら メイジは否定ができなかった。 そうして、ひとりの男だった者は自分らの糧となる。 (10) 2021/07/13(Tue) 1:43:49 |