【人】 京職 一葉「来年も、再来年も」 空気が、視界全てが、薄桃色に染まる世界。 呆けたように見上げながら、傍らの百継様に小さく告げる。 「百継様と、この桜を見とうございます」 かつての私は、この美しさを知らなかった。 目に入ってはいても、気付くという事に至らなかった。 「この美しき都を守る御力を持つ百継様をこの一葉、心よりお慕い申しております」 今の私は、この美しさを守りたいと、心から思う。 「百継様の悲願が果たせますよう、私がお守り致しますゆえ」 口にしてみれば、それは叶う事のように思われて。 でも些か、大きな口を叩きすぎたようにも思った私は、改めて背筋を正した。 「木菓子を買い求めて帰りましょうか百継様」 大事な当主を連れ回したと徽子様継置様に小言を言われぬよう、彼らの分も。 [保護(+)取得] [パス(?)] (10) Valkyrie 2021/04/20(Tue) 23:31:32 |