【人】 魔神 ハーレフ「アールアレフってランプの魔神の理想的なご主人様だね!」 あなたって、私に私の身の程を思い知らせる人だね。 笑顔の練習、やっぱりしておいて良かった。 にっこり笑って、思ったままに言う。 欲は尽きないし皆欲しがる。 持っているからこそもっと欲しくなる。その通りだと思う。 ランプの魔神を手にするのは一様に欲深い権力者とかお金持ち。 時に砂漠に埋もれ、時に遺跡に隠れ。世界のどこにあるかもわからないランプを探し出すなんて普通の人だったらやりはしない。大変だもん。 私だって…もし、“自由”になったとして。 今度はきっとアールアレフみたいに“女である不自由”に悩むんだ。 欲に終わりはない。愚かなランプの魔神でも良く知っている。 ………怖い事ばっかり。 外の世界は楽しいと思ったけど、同じくらい怖い。 ────でも。 「………あのね!」 私はぱっと立ち上がって、美しいけど閉め切られて薄暗い部屋の窓を開け放つ。 沈みかけの太陽が地平線を赤く染めて、その反対側からは夜が忍び寄っていた。 昼間の熱気は薄らいでいて、ひんやりした夜風が頬を撫でふわりと薄い紗と戯れて去って行く。 (10) ときいろ 2019/06/15(Sat) 10:21:31 |