【人】 海底撈月 ヌイバリ>>6 古後 「話が分かって助かる〜。 はあ、あれ便利だったんだけどな……」 ふるり、と身を震わせてから青年は不思議そうな表情を作った。 自らの『想い』を『意思』のままに制御下に置いていた分、全ての主導権を一気に失ってしまったかのような感覚になる。 例えばそれは、恐怖であったり。 じっとこちらを睨むあなたと目を合わせ、へにゃりと笑う。 ここにいるのは怖い。怖かった。でも今は何だか大丈夫だと思えた。 無理矢理に誤魔化すのではなく、自然とそう思えた。 あなたがそこにいるからだ。 「……あんまり、無理しちゃだめだぞ? 出るまでの話とはいえさ、使うのも辛いだろうし。 注射怖かったら手握っててやるから言えよな…… 」あなたの能力に救われた人間はここにいる。 忘れることで救われる人間だってきっといる。 そのためにあなたが身を削ることだけは、釘を刺しておかねばと思った。 (10) 2022/06/16(Thu) 11:09:52 |