【人】 大富豪 シメオン[だが、間も無くして女も消えた。 男に囲われることになった女は見る間に堕落していった。 酒と薬に溺れ、男の屋敷に平然と男娼を連れ込み快楽に身を窶した。 男はそれを黙認したが、女から『美』が失われるにつれて、女は追いやられていき、その行き着く先は影街であったという。 そのとき、男はその『美』を惜しんだが、女自身には何の感情も湧いてはこなかった。 ただ一度だけ友の姿を思い出した。 それは激しい炎の様な深い絶望と裏切りへの怒りをその目に宿した、憎悪に身を包んだ姿。 そのとき、男は初めて友のことを美しいと思ったのだった。*] (11) 2022/11/24(Thu) 10:09:27 |