【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ>>10 リカルド 「言い返してたらあんた今頃女になってるよ。 ついさっきも女を一人造ってきた所だから、すぐやれるね」 ふん、と鼻を鳴らす。命の保証のない性転換の話、 分かるものはこの場に魔女しかいないだろうけど。 「ま、そんなとこ。住処を吹き飛ばしたんでね、 ああ、あとあたいここに引っ越すから。この店貰うよ」 上への確認もなしに、勝手な事を言いながら。 髪に触れた瞬間、ぐんと首を逸らして避けて、 「次勝手に触れたら指なくなっても文句言うんじゃないよ」 なんて恐ろしい事を口走る。 「まだヤクが抜けきってないのがよくわかるね。お断りさ。 これくらいある方が、かえってハクがつくよ。それに――」 数日前、烏に言った言葉を呼び起こし。 「『忘れねばこそ、思い出さず候』、ってね。 これはあたいのものだ、あんたなんかにあげない」 魔女は魔女らしく、凶暴に笑う。 きっと、大きな疵痕になる。 だが、魔女はそれを捨てる気はないらしい。 (1/2) (11) 2022/08/25(Thu) 19:59:55 |