【人】 瀬戸 海瑠[それからあっという間に新学期が始まって、 翡翠先輩と簡単に逢う事ができなくなった。 ……いや、逢おうと思えば、食堂とかで逢える。 でも人目があるし、何より逢える時間は格段に少ない。 その事に憂いを感じて、ため息の数は増えた。 授業中に術の練習だか何だかで親指と中指で輪っかを作る様に言われ、作ってみて……何かを思い出してしまってぶわっと顔が赤くなってしまってクラスメイトに心配されたりしながら…… 放課後、上級生と思しき女生徒に呼び止められた。 「北神と付き合ってるって本当?」と 単刀直入に問われ、どっと心臓が鳴った。 ルームメイトはみんなに内緒にしていてあげるって言っていた。 じゃあどこから漏れたんだろうと逡巡していたら、 「北神から聞いた」と続けられた。 先輩が言いふらす……とは思えないから、 どこかから漏れて、それを先輩が認めたんだろうなと思った。 じゃあ、自分が否定する理由はない] はい。 [としっかり姿勢を正して頷いたら、 女生徒はちょっと面白くなさそうな、むくれた様な顔で 「やっぱりカイルは、男の方が好き?」と呟く] (11) 2023/04/21(Fri) 0:12:49 |