【人】 封じ手 鬼一 百継ざあっ! 「……ぁ」 突如、強い風が桜の枝を揺らした。 血の気が引いた体は、もう一度春のぬくもりで包まれた。 ぼうっとしていたのは一瞬だった。 一葉に気取られなければ良いのだが。 「ありがとう」 今度は、心から微笑むことができたように思う。 「儂はまこと果報者じゃ。 この都が美しいのは、そこに住み生きるお主たちが美しいからであろ? 一葉、儂にはもったいない言葉だが、確かに預かった」 木菓子、の提案に心が躍る。 しかし、次の言葉は、終ぞ言うことはできなかった。 ――また来年も、一緒に見ると約束しよう。 感情:尊敬(+)取得[**] (13) TSO 2021/04/21(Wed) 0:07:05 |