【人】 軽音部 千葉郁也[今更、何で俺がと毒づいても責める心当たりが己にしかないことに舌打ちを一つする。 夜の静寂が一層際立つようで、ポケットからスマホに繋がったイヤホンを取り出そうとした。その時、 ──…ガサッ 路地に面した民家の植込みが音を立てるのに肩を揺すって足を止める。] ……ぅをッ?! [飛び出した小さな影が足元を通り過ぎるのに飛び退いて、其れを凝視してから嘆息をひとつ。] なんだ、猫か…。 [誰かに見られてやしないか辺りを一度見渡してからイヤホンで耳を塞いだ。 文化祭で演った曲の録音を再生すると一度瞼を下ろし、深呼吸をすると歩みを再開する。] (13) 2022/10/12(Wed) 2:58:03 |