【人】 室生 悠仁そんな姿を見ても、幻滅するどころか 真剣な顔がかっこいいだとか、 きらりと輝く目に視線が奪われるだとか。 どうしようもないことを考えてしまう俺も 人のことが言えないくらい終わっている。 彼が軽ければ、俺は素晴らしく重い。 相反するからこそ、奇妙なバランスで この関係が成り立っているのかもしれないが。 注文したデザートが届く。 レモンチーズケーキと、桃のミルクレープ。 果汁だけでなく果実も使われた季節限定メニュー。 もし運んできたのが件の女性店員なら 俺が睨みを効かせたからか、反省したのか 今度は彼が口説くことはなかった。 とはいえ、にこりと笑みを向けて感謝を述べてはいたが。 (13) 2022/10/14(Fri) 8:36:42 |