![]() | 【人】 今宮 水芭それまで機械のように動くことをやめなかった足が、ここで初めて疲れを知ったように力を失いました。 私は腑抜けたようにその場にくずおれました。 人は皆、その生を縒る糸の繋ぐ先を見通すことは叶わない。 けれども私だけは、何処かの誰かのその糸が絶たれるその様を、知ることができる。 ときには同時に、ときには未来を見通す形すら取って。 忘れもしないあの 九月一日 にこのことを知り、私は年不相応にも、世の中を下瞰しているかのような倨傲と、それと相反するように己の前途への諦観とを、手に入れるに至ったのでした。 (13) 榧 2025/06/29(Sun) 6:51:17 |