【人】 命灯癒光 リーディエ罪の中で、生きて欲しかった。苦しくても、悲しくても。 誰かが許さないことも大切だと、そう思ったの。 許さないことも、許されないことと同じくらい……。 問い返された言葉には、口を閉ざしたまま 今直ぐに 答えを返さない。土をかけてあげなくては。不意にあげた視線が、続くノルの言葉と重なる。 仲良くなりたかった。………そんなの、 「私、だっ………て、……ッ」 少し、身構えてしまった。飛び込むようにこちらへ向かうノルに。 でも、 触れたかった。ずっと。…ずっと。 許せなくても、きっとこの時は……やりたいことが同じだった。 光が舞う。触れた者を癒す光が。気力、体力。怪我に病等、多くを癒せる リディの異能。 命を対価に、誰かを癒す奇跡を起こす 残酷で優しきもの。 腕の中の温かな貴方が嬉しくて。でも、複雑で。迷うように──口を開く。 「話すのが嫌なら……今此処に 貴方を連れてきていませんから」 1人でいいと断ることも出来たはずなのに。 そうはせずにいたのは、きっと話がしたかった。 壊れたものは戻せないけど、言いたいことが沢山あったから。 笑みを浮かべ、抱きしめ返すことなくさ迷わせていた腕をノルの背に回す。 体が痛くて、辛くて。苦しいけど──触れられることは幸福だ。 ノルが隠し持つ ナイフ の存在には……気付けない。 (13) 2022/07/26(Tue) 7:31:07 |