【人】 子天狗 茅 ぅ、 [気づけば身を清められていた。 その気になれば子天狗は、その妖力で自身を清めることくらい、造作もない けれどこの子天狗、天狗さまに甘やかされ、世話されることにすっかり味を占めてしまいそうだった。 今度はきっと、俺が天狗さまの身を清めてあげよう。 目覚めて早々、両腕を差し伸ばし、天狗さまに口付けを強請る。 愛されている、愛しまれている、なんて、実感を得るためだけの、些細な我儘だ。 撫でる掌が好きだって、伝えたら、また撫でてくれるかな。 ぐいぐいと額を押し付けるようにして、甘える。 顔を上げれば視線が出会って、茅はふわと笑った。] (13) 2021/06/29(Tue) 21:49:45 |