【人】 安住 香菜[─────むかぁしむかしのおはなし。 近所に住んでた男の子に、 あたしは恋をしてた。 きっかけは、なんてことは無い。 一緒に過ごして、遊んでいるうちに。 おままごとして、つんだつくしを ご飯の代わりに出して、ふと思っちゃったの。 「大人になっても、一緒にいたい」って。 その頃のあたしは、今とは比較できないくらい 素直で無垢な子だったから 思った言葉をそのまま口にしたの。 「ねえ、結婚したら、本当のおいしいごはん たくさん、毎日、出してあげる」 神社の裏にある林の中、 木々が作った『家』で、 あたしはそう、告白した。] (14) 2021/06/04(Fri) 0:04:54 |