【人】 魔神 ハーレフ■ヘイダルへ(感情変更なし) 夜市に連れてってよ、ってお願いした。 ヘイダルの事情は知ってる。 ほんとは私を連れ回してる場合じゃないんだと思う。 一応“敵同士”なんだし、慣れ合うのだって良くないんだと思う。 優しい彼に甘えているのだとは自分でも分かってるけど。 それでも悪態吐きながら良いよって言ってくれたから、私達は夜の街に繰り出したのだ。 「わ、わ!」 すれ違った人と軽くぶつかってよろめく。 夜市は昨晩も来たけど、その時は近くで眺めていただけ。 人の多い所なんて歩いたこと無い。 一見人と同じだけど体重が人の何十分の一も無い私は、ちょっと肩がぶつかっただけで吹き飛んでしまいそうになる。 店の軒先には置物とか小物とかアールアレフのような綺麗なヒジャブとか。 良い匂いのする揚げ物とか、ヘイダルがくれたようなスモモとか。 あるのは目に入ってるけど、歩くので精一杯! こういう事も出来るようにならなきゃいけないなぁ。 だって自由になった私には“御主人様”は居ないんだから。 悠々と前を行く彼の背を追って、こっそり思ったりして。 街中央、噴水の近くに来た頃にはだいぶへろへろだった。 (15) ときいろ 2019/06/15(Sat) 13:29:56 |