【人】 1年生 朝霞 純【現在・天使のお告げ】 [津崎さんと話していたはずなのだけれど、私の目の前にはいつの間にか美しい少女が立っていた。 その姿を見たときに、自分が記憶を失った経緯を思い出した。 そして同時に、美術館で起こった事故のことも、研究室の皆との思い出も、はっきりとしたものとは云えないまでもある程度は思い出される。 死者のための夢で、あまり混乱されたままでは困るのか。 それとも、私の心が一段落ついて、少しだけ現状と向き合う決意をしたからかは分からないけれど。 どちらにせよ、もう、二回目までの混乱はなく。 むしろ、心は穏やかに天使の宣告を聞いた。 >>0 今泉さんは帰って、トラくんと香坂さんは生きている。 今泉さん、ちゃんと帰れたんだね。 次はトラくんと香坂さんの番なんだね。 それにほっとして、消え行く少女の姿を見送って。] 場所を聞いて、行った方がいいよ。 [傍らにいる津崎さんに、そう言った。きっと黒崎さんも行くだろう。 やっぱり仲のいい人は一緒にいるべきだ、そう納得しながら。] (15) 2022/09/08(Thu) 1:05:57 |