【人】 おかえり 御山洗「……」 まだ昨日の内から気の晴れないまま。海の記憶が残ったまま。 幸いにして家の中に昔の浴衣はあって、幅は調整すれば着れそうだった。 着れそうだな、というところまで確認したのに、まだ袖は通していない。 蒸し暑く射す太陽を受けながら、玄関先の縁台に座ってぼんやりとしている。 みんなお祭りに行っている頃だから、ぼんやりとしているのを誰かに見られることはないだろう。 もう少し、あと少し。気分が晴れてから向かえばいいだけだ。 (15) 2021/08/15(Sun) 17:43:56 |