【人】 封じ手 鬼一 百継一葉が、特別何か儂に働きかけたわけではない。 しかし、日々の彼の態度が、誠実さが、一瞬毎に「百継を信じていると」言う。 それならば、踏み出してみようではないか。 「応えたい」と思わせる力が、一葉にはあるのだ。 ずっと、言えないこと(>>1:13)が心残りだった。 彼にしてみれば些細なことかもしれんが、これは儂にとっては大きな変化じゃ。 「また来年も、一緒に桜を見ると約束しよう」 声は少し、こわばった。 震えを振り払うように、己を鼓舞するために、言葉を繋ぐ。 「そのために……百鬼夜行を……あやかしを、すべて、彼方へ封じよう。 儂は憎い。百鬼夜行が、あやかしが。 存在そのもので地を穢すあやかしがのうのうと現におることを考えると、怒りで身体が震えるほどじゃ。 ……儂と共におるのだ。力になってくれ、一葉」 この桜の元で、そう請うた。 [*] (16) TSO 2021/04/21(Wed) 23:31:41 |