人狼物語 三日月国

237 【身内R18】冬来たりなば春遠からじ


【人】 北神 翡翠

俺たちは既に結婚を約束を交わしていて、それぞれの両親にも挨拶を済ませた両家公認の間ではあるけれど、改めてこうして手順を踏むと、信じられないくらい緊張した。
ここで今更、君に断られる選択肢はないと思うけど、改めて受け入れてくれれば、涙が出そうになるほど嬉しくなった。
箱をテーブルの上に置くと、差し出してもらった君の左手薬指に、そっと指輪を嵌める…───と、その時、


「────!!」


突如店内に鳴り響く、あまりに有名な結婚行進曲のフレーズ。
ぎょっとして音のする方を見ると、店内の片隅にあるピアノで今まで穏やかな生演奏を披露していた奏者が、今やこちらに笑顔を向けながら、超ノリノリで曲を奏でている。
続けて店の奥から給仕が出てきて、

『ご結婚、おめでとうございます!』

と声を上げると、店内に居た客が一斉にこちらを見て、店員と一緒に拍手を送ってくれた。

えっ。
この店こんな事するの?確かに予約を入れる際に、
誕生日祝いと一緒にプロポーズもしますとか、言っちゃった気がするけど。
この状況に戸惑いつつも、君と顔を見合わせて頷く。目で促して、二人一緒に椅子から立ち上がると、


「ありがとう、ございます……」


祝福の拍手を贈ってくれる人たちに向けて、深く頭を下げた。
それから改めて、この場にたまたま居合わせた人たちの顔を順に見ながら、
(17) vitamin-girl 2024/01/05(Fri) 0:28:49