【人】 矢川 蛍[買いそうか、そうでないか。 そこまで彼のことを知らないのは確かだった。 それは私が今、さまざまなことをネガティブに 受け取ってしまうからこそだったかもしれない。] ……やっと、スタートラインに立てたと思ったんです。 アイツの目に、私を恋愛対象にする可能性を 映すことができたって。 でも、……スタートラインに立てたかどうか。 [直後、別の恋人が隣にいた。 スタートラインではなくて、離れるきっかけに なってしまったのかもしれないとすら思う。 小さくため息をついては肩をすくめた。 けれど、続けられた言葉に目をパチリと瞬かせる。] (17) 般若湯 2021/02/27(Sat) 16:42:31 |