【人】 因幡 理恵[腹が膨れて温かい肌に身を寄せれば、寝つきは夏よりも格段に良い。 夏はくっついててあつかったのもあるかも。(「お主熱すぎるぞ亀のくせに!」「もっと冷たくならんか!」) 寄り添ってぷぅぷぅと寝息を立てていれば、その腕が伸ばされてふっと目を覚ました。] ……フウタ? まだ夜じゃろ? [夜行性の兎だが、フウタやおばあちゃんと生活するうちに、夜は寝ていることが増えた。緩んだ腕の合間から、寝ぼけ眼のままフウタを見上げたが、焦点が合う前に頭を抱え込まれ、温かい胸に押し付けられた。頭上から「寒い」と簡潔な理由が降ってくる>>6。 押し付けた額は、ちょうど心臓の真上にあった。性能の良い耳が、とく、とく、と鳴る鼓動を拾う。その間隔は、くっついているうちに少しずつゆっくりになっていく。 大きな体に包まれながらその音を聞いていると、ふとしたいたずら心が湧いた。 抜け出すことは敵わなくとも、腕ぐらいは動かせる。フウタの寝間着の合わせ目を広げると、胸板に唇を寄せて、ちゅう、と吸い上げた。鮮やかに散る赤は、夏祭りの時はうまくつけられなかった印。体を重ねるたびに上達して、理恵の首周りとお揃いの痣が、フウタの体のあちこちにある。 痕をぺろりと舐め上げると、舌先を滑らせた。ほんのりと寝汗の味を感じながら、なぜかオスにもある不要な先端を軽く唇で食む。抱え込まれた力が緩んでいれば、挑発するようにフウタを見上げた。] ……なら、温まる方法があるぞ。 [「どうする?」と形だけの問いかけをしながら、さらに合わせ目を押し広げた。] (17) 2020/12/25(Fri) 20:41:23 |