【人】 「愛」の神 サティカル投げかけられる「狂」の神の問いに、サティカルは組んだ手に視線を落とす。 有罪か、無罪か。ひどく、難しいものだと思った。 「……わたくしは、」 ── 考えても答えが出ないから、世界って楽しいのよね 問いかけに対して自分なりの言葉を発しようとして、続いた一言に口を噤んだ。 胸の内に落とし込んで、笑みを見せる姿を見つめる。 「無罪、と思うのだわ」 「愛」の神であるが故に、色んな愛の形を見てきた。 愛ゆえに狂う存在も、いなかったわけではない。 愛の名のもとに、おそらく自分は彼女を赦すだろう。 そうして、彼女にとって、問いの答えとしてはわかりやすくてつまらないのかもしれない。 いや、どうだろう? もしかしたらあまりにも想像通りで面白いのかもしれない。 目の前の「狂」神の、ころころと変わる気紛れで自由な気持ちを、サティカルが知ることはできないから。 (17) 澪斗 2019/10/05(Sat) 12:28:20 |