【人】 命灯癒光 リーディエ「…………ぁ、………、」 ナイフが突き刺さる瞬間、リディの口から小さく声が零された。 柔らかな皮膚は凶器を飲み込み、痛みに顔を歪める。 疲れや異能による苦痛では見せずにいた表情だ。 「──────」 何かを伝えようと口を開くも、言葉は紡がれず。 ゴッ! 周囲を舞う光は先程よりも輝きを増している。 やがて天に昇るように、光は空へと舞い上がる。 「………は、ぁ……」 今にも崩れ落ちそうな体を留めるように、ノルの背に回った手は強い力で服を掴んだ。 そのまま体を預けるように膝は折れて、ノルが離せば地に膝を着く形になるだろう。 呼吸が荒くなる。視界はちかちかと明滅を繰り返していた。 まだ突き刺さるままのナイフは、白いシャツとカーディガンを赤く滲ませて。 透けるように柔らかなブロンドの髪は、たちまちその色を変えていく。 (17) 2022/07/26(Tue) 22:30:53 |