【人】 小さな サルガス>>2:13 ブラキウム なんで。 小さな唇はそう呟いたはずだったけれど、空気を震わすに至らなかった。 血の気が引いて凍りついた表情と体のまま、ブリキの人形のように立ち尽くす。 「ち――ちがうよ! 居もしないなんてことないじゃないか! おとといまで、いっしょにご飯を食べたり、遊んだり、してたのに! なんで、なんで―― ヘイズは居なくなったりなんてしてない! 」今まで抱えていた不安が煮え立つように、わっと大声になって湧き出した。 それを聞いている人々がどんなふうに思うかだなんて、考えるひまもないままに。 (19) redhaguki 2021/05/26(Wed) 21:08:21 |