【人】 上原 隆司[彼女の身を守れるかもしれなくて、その上、嘘の関係を取り繕おうとしなくてもいい。 見抜かれないか不安になりながら「恋人のフリ」を頑張るよりは、いっそ楽なのではないか。 上原はそんな思考だった。 向こうにだって、昨日の今日で恋心が芽生えているとはとても思えなかった。 それでも、好きかどうか定かでないうちから付き合ってみるというのも、決して珍しい話じゃないはず。 そんな深く考えない言葉を受けて、矢川は戸惑ったような言葉を重ねながら顔を赤くする。>>18 それを見て今度は上原が戸惑うことになった。 半ば勢い任せの言葉であった。 けれど、それで赤くなられてしまっては] (19) 2021/03/01(Mon) 20:17:23 |