【人】 緑山 美海これは確か、数時間前の出来事だったかな。 小さめのリュックを背負い、(>>10)珍妙な悲鳴をあげる男の後ろを歩いていた。 大慌てで走り去る姿を眺めながら。 「···だから、私の荷物は自分のバックに入れるって言ったのに」「全部詰め込んじゃうんだから、本当に馬鹿」 言葉とは裏腹に、女は幸せそうに微笑む。 彼の優しさで必要最低限しか入ってない軽いバックを揺らし、のんびりと管理小屋に歩を進める。 「こんにちは、数日間よろしくお願いします」 少し遅れて中に入れば、従業員さんに挨拶をして一礼を。 最近、二十歳になったばかりだが、隣の男よりはずっとずっと歳上に見えるだろう。 (20) 2023/02/28(Tue) 23:15:56 |