【人】 貴族令嬢 クラヴィーア[オルガンの音が教会に響く。 ここ数年でさび付いていた腕もだいぶ感覚を思い出して、いい具合に音を奏でれるようなった。 拍手に綺麗に、身についたままのカーテシー。 いかにも上流階級の人間とわかるそれは、もうこの地で関わった人間なら見慣れて来たころだろう。 バーバチカ島では、新月の日に現れるという 紅 い月に願いをすると必ず叶う、という伝承がある。 ──────代わりに、大事な物を失う、と私は聞いていた。 眉唾物に近いそのお話に私はすがった。 私の大事な人……アマミさんに出会ったのはその島の中。 島では色々あった。優しい人たちに沢山出会った。 その中で私は、あの人に願いを貰った。 一発で落ちた。 家族から虐待を受けていた自分は、結果その状況を変えることが出来た。 現状名だけの貴族だ。] (20) 2021/03/31(Wed) 7:55:08 |