【人】 行商人 美濃[売れた品と茶碗一杯の土の分、幾分軽くなった鞄を背負えば、職人街や商店街を巡り、榛名での仕入れ品を探して。 行き交う街に学生らしき子らの明るい笑い声を聞く。 昨夜の客の中、気になる女学生にでも渡すのだろうか、真剣に品を選ぶ少年の姿を思い出して微笑ましくなったりとする。 雨の中で幻視した、賑やかな榛名の日常が確かにあった。>>0:36 その道中でも、呉服屋に立ち寄った時にでも、猫飼いの人に会ったなら、「確かに咲いた」と伝えるだろう。 また大きな満月が昇る頃、きっと此処へ来るだろうから、その時お見せできたら良いと。 ひとつ、約束を増やして。 女はひとり、島を去る。 けれど、女はひとりではなかった。 ───満月を飲み干した胸の内、 其処には確かに*彼の人がいる。*] (20) 2022/10/06(Thu) 18:47:04 |