人狼物語 三日月国

246 幾星霜のメモワール


【人】 宝石集め カリナ

聖女祭初日。
装飾屋の露店スペースの看板は【準備中】のままだった。

カリナはその日、陽も暮れる頃になって漸く生産ギルドの前で大きなため息を吐く姿で見受けられた。
目の下には化粧で隠れないほどの目立つ隈、腕の中にはいくつもの羊皮紙を抱えて、まるでくたびれた会社員のよう。

「疲れた……それにお腹もすいたわ……。
 せっかくの祭りの日にお金周りで時間を取られるなんて」

「今日は肉」

そんな彼女は愚痴を吐きつつもその分自分へのご褒美と娯楽を宣言しつつ。
次の瞬間には顔を上げ前を向き、かつかつ音を立てながら人気のある広場の方へと歩いていった。
(21) toumi_ 2024/02/02(Fri) 16:02:11