>>14 ヴェルデ【街中】
当然のように渡すのだから、当然のように歩きだす。
かつ、と真っ直ぐに石畳に突きつけられる靴底は甲高い音を立てる。
どことなく誇らしげで、
――どことなく、自らを奮い立たせるようだった。
「揚げ物はちょっとな。
串焼き」
振り返ると、細い飴細工のような指を突き出す。
朱色の
爪の隙間には、
小さく折りたたまれたユーロ紙幣がはさみこまれていた。
「買ってきて。任せるから」
こういう時に、あなたの分もしっかり買わないともう一度使い走りをさせられる。
あなたが学んだことだ。